「大森望のSF漫談」 VOL. 3 世界はこうして円城塔を発見した!

 注意:メモが適当なので、情報ソースとして使用しないでください。聞き違いがあることを前提として、話半分に読んでください。1時間ほどで起こした適当なもので恥ずかしいため、数日中には消すつもりです。せりふは一字一句同じではなく、意味の通じるように書き換えています。

 演台へ着くお二人。円城氏、なぜか冬場のような重装備。

 大森氏(以下O) (で、脱ぐの?という問いかけ)
 円城氏(以下E)「人があまり来ないようであれば脱ぎます」
 ※どうやら、少しずつ脱げるようにと着こんできたらしい。

 O「プロとして初のTwitter作家と言われてるんだよね」
 E「ディスカヴァー・トウェンティワン*1にそう言われてる。どうやらそうらしいので特に否定はしない」

 O「海外にもTwitter小説文化はある?」
 E「日本のように140字のうちに完結する小説は少ないでしょう。Haikuや、自分の出版されるあてがない作品を垂れ流す人はいます」

 O「新城(カズマ)さんの(Twitter上での)『15×24』連載は何枚分くらいなんだっけ?」
 E「30枚くらい?」
 (秘)「あまりの連投にリムーブするかと思っ……」

 O「(円城さんは)結構Twitter小説を読んでるんですか?」
 E「おとといくらいまでは」
   (会場笑)

 (政治的事情により検閲削除。京大SF研、内藤○か、SFこわい等の単語が含まれている)
 ここでカーキ色のカジュアルなコートジャンバーを脱ぎかけた円城氏、大森氏の質問を受けて脱ぐのをやめる。
 O「なに、ストリップティーズ?(笑) 落語家の羽織みたいだね」
 O「Mさん(書店の方。イベントの仕切りでおなじみ)はTwitterやらないの? 携帯なくてもPCでできるよ」
 M「PCも持ってません」
 O「店のPCとかで……店の若い衆にやらせるとか」
 E「若い衆(笑)」
神林トリビュートの件
 E「誰がどの本をやるかのみを最初に決めて、そもそもトリビュートとはなんぞやといった合意は全くまとめてません」
 どういう読者を対象にしている本かという話題。
 O「きっと神林長平と書いてあれば買うファンは数千人いるでしょ。それから各作家に100人ずつくらい、(神林をよく知らなくても)買うファンがついてるでしょ(笑)」

 O「いつもは模型を組み立ててそれを小説にする、とか言っているけど、今回はどうやって書いたの?」
 E「ふつうに頭で考えました」
  会場微笑。

 なおトリビュートの人選については、連絡が取れずに声をかけられなかった人や、一旦はOKしたがギヴアップした人もいたそう。
東浩紀および謎ワード『火星作家』
 O「『新潮』での連載を大幅に改稿した小説『クォンタム・ファミリーズ』を近々出すらしい」
 ※円城氏は連載で読んでいたという。
 ?「(東氏が)次は火星を書きたいって言ってました」
 O「平野啓一郎*2に続く、火星作家になるのか」
 E「なんですか『火星作家』って」
 O「川又千秋さんも火星を書いたけど、リアリティを追求した作風じゃない。イアン・マクドナルド『火星夜想曲』やブラッドベリの描く火星も、リアルではなくて今の読者にとっては懐かしい感じになってしまう。そうではなくて、工学系の、キム・スタンリー・ロビンスンみたいなの」
 E「水星作家とかもいるんですか?(笑)」
 O「太陽系では火星作家くらいじゃない?」

『NOVA 1』(河出文庫
 もくじ初公開(前方の客に配布された?)
 O「担当編集Iさんの押しによって『責任編集』という肩書きに」
 ※ここで円城氏がついにTシャツになった!
 O「11人中、7、8人くらいがSFマガジン50周年記念の日本人作家特集の執筆者とかぶってる(笑)」
 O「NOVA,SFマガジン特別号、神林トリビュート3冊すべてに書いているのは円城塔だけ。つまり日本SFを牽引する作家ということに……」
 E「それはないでしょう(笑)」
 ※大森さんが、円城さんは創元SF短篇賞にも出すの?(笑)との問い。
 O「出してもきっと日下三蔵が採ってくれないよ」 
 E「じゃあ、日下さん向きのを書きますよ」
 O「日下さん向きの? 忍者とか出てくるの?(笑)」
 ※会場笑。火星SFの次は忍者SF。

 ※NOVAとSFマガジン日本人作家号の執筆陣が読み上げられる。
 O「霊界電話があったら伊藤計劃にも依頼できたんだけどね」
 E「本人が霊界電話否定しそうですよ。『そんなものあるわけない』って」
 O「そうだね。『原稿は用意してあるけれど、送れるわけがないから無理です』とか言われそう」
 O「……どこまで脱いでるの? 左のくつ?」
 ※円城氏が右足のくつを脱ぐ。着衣が残り少なくなってきた。

 E「(大森さんに)なにかNOVAに足りないものがあるかと聞いたら、宇宙とセンチメンタルが足りないって言われました」
 O「その時は宇宙不足だったけど、いざ完成原稿が集まったら宇宙ものばかりだった。山本弘のは月面を舞台にしたミステリです。テーマは設定せず、何でもよいと言ったんだけど偶然にも宇宙SFが集中しちゃった。創元の年刊SF傑作選と比べて、もう少し(ジャンルとして)しぼられた内容になってます」
 E「NOVAの面子だと火星は守れそうにないですね」
 ?「地球も守れない気が。むしろ守ってほしくない(笑)」

 O「次(今月末発売)のSFマガジンにはなんと、イーガンからもメッセージが届きました」
 E「本当にいたんだイーガンって!」

各人の今後の予定
 O「角川から出る再録アンソロジーは1、2月ごろに出版予定が延びました」
 E「『ホワイトスペース』の最終回のゲラは今もってます」
 O「あれ、紙のゲラでやりとりしてるんんだ」
 E「してますよ。みんな『ホワイトベース』っていうんだよなぁ……」
 ※ここで2人、YOMBAN*3のイントネーションについてしばし論議
 O「そもそもあれ、どこで書籍化する予定なの?」
 E「言えません」
 O「電撃だったらびっくりする。まぁ、最近はガガガ文庫から『ハムレット・シンドローム』も出たし、電撃から牧野修も出てるけど……」
 E「『ハムレット・シンドローム』出ましたからね!」
 O「I迅社から出たらがっかり感あるよね(笑)(ある意味、意外性がないから)」

 O「(ライトノベルを書くにあたり)萌えとか研究した?」
 E「してません。あれは血なんですよ。後天的に獲得できる才能じゃないんですよ」
 O「勉強合宿とかで学べない?」
 E「そういうのは読者に見抜かれるんじゃないかなと」

 E「近々『群像』に掲載された120ページほどの作品「鳥有此譚」に、ページが足りないので120ページほど註をつけて243ページにした本が出ます」
 O「どこに註ついてるの?」
 E「下にみっしりと」

 E「掲載媒体がちらばっていて、短編集を組むとすると引き上げ作業が結構大変になりそう」

 こんな感じで終了。最後には円城さんは両足ともハダシだった模様!「来場者の中に10人くらい、なんで僕が脱いでるか全くわかっていない人がいると思うんだけど」といいつつ良いファンサービスでした。新ジャンル:脱衣講演の第一歩がここに刻まれましたね。

*1:Twitter小説集 140字の物語』の版元。

*2:『ドーン』参照

*3:読むバンダイビジュアル