ニコラス・カウフマン編 Jack Haringa Must Die! (Mericat Publications, 2008)

Jack Haringa Must Die!

Jack Haringa Must Die!

 実在の作家・講師・レビュアーであり、シャーリイ・ジャクスン賞運営に深く携わるジャック・ハリンガから名をとった架空の男が死ぬ話を書く。という謎の縛りで作家たちが競作したアンソロジー。元々はボストンのコンベンションから発生した企画らしい。作家陣はブラム・ストーカー賞やシャーリイ・ジャクスン賞の候補になった人が多く、皆ハリンガとはよいお友達である。サブタイトルは28 Original Tales of Madness, Terror and Strictly Grammatical Murder。おい。購入すると、資金調達に苦労しているジャクスン賞の中の人たちが喜ぶと思われるので、ホラーファンの方はチャリティだと思って買ってあげよう。
 1発目からジャック・ケッチャム先生が「ハリンガに死を!(Death to Haringa!)」という話を書き下ろしている。ほかに邦訳がある面子は『闇に棲む少女』のクリストファー・ゴールデン、《魔術師エベネザム》シリーズのクレイグ・ショー・ガードナー。個人的にやや気になる存在のNick Mamatas, Laird Barron(共にクトゥルー神話系の著書あり)も参加している。しかし内輪向けにせよ、ネタがブラックすぎる。日本では同人誌としても出さないだろうな、こういうの。