パルプフィクション三昧(表紙に注目)

The Mall of Cthulhu

The Mall of Cthulhu

 10年も前、大学生ローラ・ハーカー*1はあまたの齢経た女吸血鬼に眷属にされる寸前であった。その窮地を救ったのは、民話を専攻するヲタク学生テッド。彼は単身、吸血鬼の巣窟と化したアルファ=オメガ女子寮を掃討したのであった。
 ロースクールを出たローラはいまやFBIエージェント(残念ながら、冒険より事務仕事に取り巻かれた生活ではあったが) 一方テッドはこの10年、ローラのみを唯一の友としてバイトで生活をまかない、現在はバリスタとしてチェーン喫茶店でコーヒーを注ぐ日々を送っていた。しかし彼の店にクトゥルー復活を目論む信徒たちが訪れたとき、彼らがいま一度邪神を光臨させ、ショッピングセンターをThe Mall of Cthulhuと化す試みから守るため、テッドとローラの戦いが再び幕を開ける。

 というオカルトスリラーアクション。このタイトルを言いたいがために書いたとしか思えない。Amazonでは☆1から☆5まで票が割れている。完全に出オチである。なお、読んだ人のコメントによればローラは同性愛者なのでテッドとのロマンスが発生しないらしい……?

  • "The Automatic Detective"(2008)

The Automatic Detective

The Automatic Detective

 バカパルプホラーしか書かないことで定評のあるA・リー・マルティネス、昨年の著作である。

 マックことマックス・メガトンはミュータントだらけのテクノトピア、エンパイア・シティでタクシー運転手をしている。じつは彼、世界征服のために殺戮兵器として作られたロボット。しかし心優しい彼はプログラミングに抗い、脱走して、この街の市民権を得ようと夢見ていた。隣人一家の失踪、エイリアンによるシティ侵攻計画、そしてマックのプログラムを復帰させる陰謀……はたしてマックは事件を解決し、セクシー美女にしてロボット科学者ルシアとのロマンスを実らせられるのか?

 自分はサルの着ぐるみに入っていると思いこんでいる読書家のゴリラ、ネズミの警官、MR.BIGという名前の「緑のこびと」型宇宙人といった友人らに支えられ、ロボットが理解できないはずの「感情」の下に街を救う私立探偵として活躍していく物語。往年のハードボイルドと往年のSFへのオマージュ。

  • "The Third Pig Detective Agency"(2009)

The Third Pig Detective Agency

The Third Pig Detective Agency

 タフじゃなくては生きていけない。ハリー・ピッグは、ビッグ・バッド・ウルフの襲撃を受けたあの三兄弟の唯一の生き残り。グリムタウンで私立探偵業を始めたはいいものの、客の入りはからっきし。しかしある日、実業家アラジンがなくなった古いランプ探しを依頼してきた。ティーンから大人までが楽しめる、おとぎ話世界を舞台にしたコージー・ハードボイルド(!?)

 イギリスからまたユーモア・ミステリが。シリーズ続刊の構想ありとのこと。

*1:カーミラ』ネタですね、わかります。